2008.5.12 プロ野球の成績
Posted by japanstats on 2008 May 13日 Tuesday
GW連戦を終えたプロ野球の成績をセイバーメトリクス観点から見たものです。
まず5/12時点でのセリーグの成績。
セリーグ |
試合 |
勝 |
敗 |
引 |
率 |
差 |
得点 |
失点 |
36 |
24 |
11 |
1 |
0.686 |
– |
139 |
102 |
|
37 |
21 |
13 |
3 |
0.618 |
2.5 |
144 |
103 |
|
38 |
18 |
19 |
1 |
0.486 |
4.5 |
142 |
146 |
|
34 |
16 |
18 |
0 |
0.471 |
0.5 |
120 |
122 |
|
34 |
14 |
18 |
2 |
0.438 |
1 |
97 |
123 |
|
35 |
10 |
24 |
1 |
0.294 |
5 |
108 |
154 |
さて、これをチームの総得点と総失点から見た、ピタゴラス勝率の成績で見てみよう。試合毎の結果では斑がありすぎるという事で、総得点と総失点から、本来そのチームの力を見るというもので
新思考派の予想手法について、次に理解しなければならないのが、「野球におけるピタゴラスの定理」だ。この定理は、サイバーメトリクス(野球を数理統計的に解析する学問)の祖、ビル・ジェームズの考案になるとされているが、
(チームの勝率)=(得点の2乗)÷(得点の2乗+失点の2乗)
とするものだ。
そうすると、こうなる。
セリーグ |
ピタゴラス |
ピタゴラス |
ピタゴラス |
0.650 |
23.4 |
12.6 |
|
0.662 |
24.5 |
12.5 |
|
0.486 |
18.5 |
19.5 |
|
0.492 |
16.7 |
17.3 |
|
0.383 |
13.0 |
21.0 |
|
0.330 |
11.5 |
23.5 |
まあ、セリーグは大体総得失点の期待通りで、今年もまた阪神が接戦を制してるのか、期待されてる勝率を上回っている。この辺はブルペン含めての投手力や起用法によって期待値を上回れるかが関わってくる、これは去年と今年の日ハムにも言える事で、度重なる接戦を優秀な投手陣で勝ち取っている事で得点力に欠ける彼らはここ2年大きく期待されている勝率を上回っている。
パリーグ |
試合 |
勝 |
敗 |
引 |
率 |
差 |
得点 |
失点 |
40 |
26 |
13 |
1 |
0.667 |
– |
195 |
149 |
|
42 |
21 |
20 |
1 |
0.512 |
6 |
124 |
139 |
|
42 |
21 |
21 |
0 |
0.5 |
0.5 |
171 |
171 |
|
40 |
20 |
20 |
0 |
0.5 |
0 |
186 |
145 |
|
42 |
19 |
23 |
0 |
0.452 |
2 |
154 |
172 |
|
42 |
16 |
26 |
0 |
0.381 |
3 |
144 |
198 |
パリーグ |
ピタゴラス |
ピタゴラス |
ピタゴラス |
0.631 |
25.3 |
14.7 |
|
0.443 |
18.6 |
23.4 |
|
0.500 |
21.0 |
21.0 |
|
0.622 |
24.9 |
15.1 |
|
0.445 |
18.7 |
23.3 |
|
0.346 |
14.5 |
27.5 |
日ハムがまた去年に続き期待値を大きく上回る勝率を残しているのが見られる、楽天が得点力ほど勝っていないのも興味深い、実はもっとポテンシャルを秘めたチームなのじゃないか?
選 手 |
||
OPS |
||
山崎 武司 |
(楽) |
1.051 |
G.G.佐藤 |
(西) |
1.009 |
田中 賢介 |
(日) |
0.983 |
橋本 将 |
(ロ) |
0.949 |
ローズ |
(オ) |
0.945 |
新井 貴浩 |
(神) |
0.94 |
ラミレス |
(巨) |
0.93 |
松中 信彦 |
(ソ) |
0.927 |
森野 将彦 |
(中) |
0.921 |
中島 裕之 |
(西) |
0.898 |
投 手 |
|||
FIP |
防御率 |
||
岩隈 久志 |
(楽) |
1.89 |
1.66 |
杉内 俊哉 |
(ソ) |
1.93 |
3.17 |
ルイス |
(広) |
2.20 |
2.2 |
グライシンガー |
(巨) |
2.31 |
2.77 |
小松 聖 |
(オ) |
2.57 |
2.22 |
清水 直行 |
(ロ) |
2.75 |
2.26 |
内海 哲也 |
(巨) |
2.77 |
3.45 |
田中 将大 |
(楽) |
2.79 |
2.31 |
ダルビッシュ 有 |
(日) |
2.81 |
1.46 |
岩田 稔 |
(神) |
2.82 |
1.8 |
あとは両リーグ通してのOPSトップ10とFIPトップ10を並べてみた。打者は軒並み期待通り(開幕から好調な打者か、認められてるスラッガー達)で、別に低い打率(といっても.250くらいまでだが)は関係無いという感じ。現在リーグトップの打率の山崎は、去年の38歳での覚醒が本物だった事を証明しているのか、それとも去年からのバッティングがまだ続いているだけで、近いうちには05-06年あたりの成績に戻るのか、興味深いところです、年もあるので。規定打席数に満たしていませんが、西武のボカチカが.950 で大活躍中、ガイエルはここ数週間大スランプだったが、OPS はまだ.804 で両リーグ24位とまずまずの成績を残している。
投手は斑が出やすく、杉内、グライシンガー、内海が実は防御率で見られている以上の活躍をしているのではないかと思われる。巨人投手については、守備を軽視するチームなので、あまり驚く事ではないかもしれない。
OPS (On Base Percentage + Slugging Percentage)とは出塁率+長打率の事で、その選手の得点能力を計る指標としては、四球を無視する打率や、チームメイトの能力に大きく左右される得点や打点よりかは役に立つ。アウトは一試合27個しか無い貴重な財源なので、いかにアウトにならないかという指標の出塁率と、いかに累上のチームメイトと自分を進塁させる能力を備えているのかという指標の長打率から、OPSは成り立っている。
FIP (Fielding Independent Picthing)とは、投手の能力をチームメイトの守備範囲やグラブ裁きに左右されない、三振と四死球と本塁打だけで計ったもので、プロ野球はメジャーより試合平均得点が少ないので、ここでは定数の3を使っているが、別に防御率と比較できる数字ではなく、防御率みたいに見やすくしているだけで、あくまで投手間の比較の為の数字である。
もちろん両方とも完璧な指標とは程遠いが(チームスポーツで個人の能力を測る完璧な指標なんて存在しないだろうが…)、従来のチームメイトの能力に依存しすぎている得点や打点や勝敗などに比べれば遥かに優れている指標である。
2008.5.27 プロ野球スタッツ « Japan, Hockey, Baseball, etc. said
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kimutax said
さぃ…さん先日はコメントありがとう。
私もあの本を読んでから、野球をデータ分析する面白さに目覚めました!でも、さぃ…さんのブログもすごい充実してるのね。(^_^;)まめにチェックせねば。。。
2008.6.10 プロ野球の成績 « Japan, Hockey, Baseball, etc. said
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2008.6.16 プロ野球のチーム成績 « Japan, Hockey, Baseball, etc. said
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